優越感

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「そうか」
 安心したように長谷部さんは言った。なんで安心されてるんだ? も、もしかして僕に気が・・・・・・!!
「良かった。虎太朗が私より進んでたら焦っていたところだ。大丈夫、お前は私より下だ」
「優越感に浸れてるだけかよ!」
 『下』ってなんだよ、『下』って。人間の正確には上下がないんじゃなかったのですか?
「人間には上下があるだろ」
「あぁ、それ言っちゃう?」
「上下がなかったら、学校であれこれ考える必要もないだろ」
「そうなんだよねぇ・・・・・・」

無表情

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ああ、また人間が一人死んだ。それくらいにしか思わなかった。
「うぅうううぅうぅううぅうぅ・・・・・・シュッ・・・・・・ううぅぅう・・・・・・シュッ・・・・・・」
和奏の泣き声が聞こえてきた。
「くっそぉおおおおおおおお! なんで! なんでなんだよ!」
水智の叫び声が聞こえてくる。
「・・・・・・」
無言のまま、茜は悲しそうな顔をしていた。
「・・・・・・」
 同じく無言の架は、無表情だった。
 みんなよくそんなに感情があるもので。人間って凄いんだなぁ、と思う。感情が無尽蔵なのは、本当に凄いと思う。
「蜃・・・・・・。聞きたい事があります」
 茜が、意味の無い言葉の渦の中で、話し始めた。

お盛んなんでしょ?

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「神に与えられた時間を大切にしようという気持ちはないのか?」

「だから、神様に与えられた性欲と向き合うために、神様に与えられた貴重な時間を使い奉るんだろ」

「神の創りし世のため、同種の生たる人のため、時間を使えといってるのだ」

「分かった、分かった。そんなに読みたいなら貸してやるよ」

 と、俺はタブレットを架に渡す。

「いらん。それに、神はそんな物読まん」

「またまた。神様ってめっちゃ子供多いじゃないですか?多産じゃないですか?お盛んなんでしょ?神様って。俺達人間よりもさ」

俺の手が

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 俺の手が掴む。少女と、その抱える象を――蝸牛が少女のいた場所を、踏み潰す。

 象が犬くらいの大きさだからできたことで、それも、俺にこんな事ができたのが驚きなくらい上手くいっただけだ。だから、それを上手く形容するなら、まぐれだった。

 良かった、まだ息がある・・・・・・。少女の肩が小さく動いているのが分かった。

 よし、そのまま、トップスピードのまま大通りに入って、茜の家に行こう。

 だが、このまま逃げ切れるか?と思って振り返ったら、直ぐ目の前に牛鬼の足があった。

 バン!シュシュシュシュー!

上司

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 上司って言うのは、なんでこう、怒りが派生していくものなんだろう?怒るのは、駄目なところを指摘してあげている、愛の行為だって聞いたことがあるけど。こういう時は、上司のストレス発散のような気がする。
 それに、連鎖的にあれもこれも駄目って言われたら、そりゃあ誰でも、「え?それって結局、全部が悪いってことじゃね?って思ってしまう。人間は一般化が好きな生物なんだよ。
 だから、その人のことを思って言ってるというのも、行き過ぎるとまったく説得力がない。

聖職者

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 殺される前の聖職者の、裁かれる前の魚の境地だった。為すすべが無くなったとき、「じたばた」する設定のゲームがあるけど、あれって多分、めちゃくちゃポジティブ・シンキングの人間が作ったゲームだろ?普通は、「諦める」とか「死を受容する」とか「遺言を残す」とかだろ、人間。
 チッ。
 僕がひたすら「諦める」を選択して黙り込んでいたら、美女は露骨に不機嫌なご様子で、舌打ちをした。
 恐っ!
 って思ったけど、まぁ、そういう反応が普通か。今の僕のような対応では。

かもめ

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 二人で黙々と昼食を食べ、各々ブースに戻った。僕は『かもめのジョナサン』を通読してみた。予習という奴だ。そして、「上手くいくかなぁ」と心配しながらウジウジしていたら、夕食時になっていた。空き始めた時間を狙おうと言って、21時くらいに行く約束をしていた。微妙な残り時間に何をしよう?と悩んでいる間に時間になった。
 僕が先に積才塾を出て待つ。暫くすると葉月さんがほんの少し不機嫌そうな顔で出てきた。
 僕等は駅前のネオン街にある中で最も空いていそうだったファミレスを選んで入った。

クズとは

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「良いんだよ。クズとは仲良くしなくて。まだ、まど・みちおを信仰してるのか?はっきり言って、友達は100人も要らない。質だ。友達は質が大切なんだよ」と入校式初日にクラスメイトに親睦会に誘われた時に言ってしまい、それ以降、博人はクラスで浮いてしまった。当然だんだけどね。普通そういう反応をするんだけどね。博人にとってもその考え方が当然で。だから誰も有効な発言をせずに終わった。博人は自分を飾らない。自分の思っていることを直接言う。

洗面器アイス

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小学生の僕には、買ってもらったアイスの入れ物は洗面器みたいな大きさで、いつも大体、半分ほどしか食べることができないのだった。そうだったので、いつもおじいちゃんと分けあって食べた。

木匙をいつも2つもらい、二人で持ったアイスの二人で交互に突っついて食べた。いつも、このバニラはおいしいだとか、墓が綺麗になっただとか、今日の魚は良い品だとか、他愛ないことを話した。

そうして、2人でも全部食べれなかったら、「冷蔵庫にしまっておこう」というのだった。そして、帰ってすぐにアイスは冷蔵庫にしまわれた。でも、後になって引っ張り出したアイスはいつも全然美味しくないのだった。

幼い頃

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幼い頃から、いじめというものが嫌なものとは認知しなかった。ムカつきはするが、悲しいとは思わない。だがしかし、ある日、辛いと感じるようになった。楽しく独りで家に帰るその道すがら。

その日僕は、カバンを田んぼに捨てられてぐちゃぐちゃにされたんだった。ちょっとキレて、カバンを放って帰った。まあ、次の日に返してくれるだろう。

子供なりに洗浄してさ。あいつらだって、先生には従順だから。どんどん帰る僕を見て、あからさまに焦っていた。さて、奴らは、どうすんのだろう?